イベントレポート
2013.12.13(金)
愛する地域で働く、たまプラーザ暮らしの価値を仕事に反映する!
11月29日(木)、たまプラーザからクルマに乗り合わせた女性4名が向かった先は、調布市国領町にあるコワーキングスペース“cococi(ココチ)”。コワーキングスペースとは、様々な業種や世代の人がオフィスを共有して自由に働ける場で、cocociは子育て世代の女性が地域の事業者と仕事を共創しながら働くことに特化した日本でも先駆的な場なのです。
地域で子育てする、地域で暮らす。そのこと自体が価値になり、新しい働き方につながるまちづくりを目指したい。次世代郊外まちづくりプロジェクトのワークショップに参加してきた遠藤聖子さんは、たまプラーザで多彩に活動する人々がつながり、アイデアを出し合う様子を目にしながらそんな思いを抱き「loco-working協議会たまプラーザプロジェクトチーム」を立ち上げました。
cocociを運営する非営利型株式会社ポラリス(http://polaris-npc.com)に学び、たまプラーザらしいloco-workingスタイルを確立できたら——。その一歩として、次世代郊外まちづくりの住民創発プロジェクト学びの活動支援部門で支援を受け、勉強会やワークショップ、cococi国領・cococi仙川見学ツアー、ポラリス代表の市川望美さんの講演会(12/12に開催)などを企画しています。
今夏オープンしたばかりのLocococi国領は、京王線の国領駅からほど近くにあるマンションの一室でした。地域密着型の建設・不動産業を営む会社が格安で場所を提供してくださったそうです。子育て世代の女性が空室巡回(ポスティングのチラシの除去や空室の空気入れ替えなど)することで雇用を創出し、同時にコワーキングスペースの家賃を稼ぎだすことにもつながっています。
「集まった女性たちは最初、子どもと離れがたく、子連れで空室巡回していたのですが、子どもと一緒に仕事をしてもそれほど効率は上がらないことがわかったんです。今では数人のチームで子どもを預かる側、空室巡回する側に分かれ、一方は仕事を効率的にこなして、報酬を分かち合っています。こうすることで、子育てと仕事を両立するスタイルを確立しつつあります」
こう話すのは、ポラリス庶務部マネージャーの大槻昌美さん。ほかにも、地域情報メディアのネタ出しから取材・執筆、インタビューのテープ起こしなどの仕事を地域で分け合う仕組みをつくり、「事業を横に広げ、より新しい働き方の発信をしていきたい」と言います。
Locococi国領は、コワーキングスペース以外にも、地域のママたちが手づくりした雑貨を販売する「押し入れショップ」や、発達障害を抱える子どもたちの感覚を光と音で刺激する「スヌーズレンルーム」の提供など、今後も様々な取り組みを行っていくとのこと。
「オープニングの時に、調布の資源を知るワークショップをやったんです。多摩川フェスとか、調布飛行場を拠点に離島とつながるとか、編み物が得意な女性がいたり、マルシェの企画とか……様々なアイデアが生まれました」(大槻さん)
大槻さんの話を聞きながら遠藤さんは、「地域の資源を発見し、活用することはもちろんですが、たまプラーザの場合は住民の方々そのものが多彩で、宝のような存在。これまで次世代郊外のワークショップでも人財バンクを活用しようということが話し合われてきましたが、まずは地域にいる素敵な人財を掛け合わせる、その仕組みをみんなで考えるワークショップをやれたら面白そうですね」と、終始、わくわくした表情で企画を組み立てていました。
続いてうかがったcococi仙川は、にぎやかな商店街の一角にあります。テナントビルの中にありながらも、一軒家のような使い方ができるゆとりある空間で、キッチンスペースや打ち合わせルーム、事務室、コワーキングスペースなど、用途も様々。この日も何人かの女性が、子連れで、あるいは一人で、それぞれの仕事を進めていました。
仙川でも国領でも、「調布」の人たちによる、「調布」というまちの資源を最大限にいかした働き方を大切にしています。同時に「調布らしさ」を表現できる仕事を目指し、それを生かせるのは子育て中の女性たちであると考えています。地域で過ごす時間が長く、子育てを通した口コミのネットワークにも長けて、子どもを育む場所として地域に愛着を持っている存在——。そうした女性たちと、調布市で地域密着した事業者の方々とで新しい働き方を「共に創る」。今こそ地域に必要なビジネスモデルとして、「調布系loco-working」を全国に広げようとしているポラリスの活動を、遠藤さんは「たまプラーザ流のloco-working」にいかに落とし込んでいくかを考えています。
「住民創発プロジェクトに参加して、たくさんの素敵なたまプラーザ住民の方々に出会いました。すでにネットワークもコミュニティも築かれているんです。それぞれの得意なことを持ち寄り、組み合わせていけるような、人財バンク的なものをつくり、それを地域で回す仕組みを組み立てることができれば、コミュニティビジネスとして成り立つのではないかしら」と、遠藤さん。12月12日にはポラリス代表の市川望美さんを招いての講演会とワークショップも行いました。
同時に、遠藤さんは住民創発プロジェクトのネットワークのハブとして、交流の拠点とプラットフォームを築く「交流の森プロジェクト」のコアメンバーとしても活動しています。たまプラーザ住民の方々との信頼関係を築きながら、たまプラーザ流の「loco-working」スタイルを築いていこうと、住民創発プロジェクトのネットワークづくりに力を注いでおり、今後の「掛け合わせ」が楽しみです。
写真・文=北原まどか(取材班)