イベントレポート
2014.11.13(木)
「地域包括ケアシステム」の構築に向けたキックオフイベント「地域で高齢者を支える医療・介護の専門職のためのセミナー」を開催しました
次世代郊外まちづくりでは、青葉区医師会、歯科医師会、薬剤師会、訪問看護連絡会、ケアマネジャー連絡会、訪問介護連絡会、通所介護連絡会など、青葉区に関係する医療・介護関係者が参画の元、2012年11月に「医療・介護連携の地域包括ケアシステム推進部会」を立ち上げ、地域包括ケアシステム「あおばモデル」の構築に向けた取り組みを進めてきました。
「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活が送れるよう、その人の状態に応じて、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを切れ目なく提供するシステムのことです。
現在は、「地域の医療・介護関係者の連携と参画」「在宅医療の仕組みづくり」など、重要課題に取り組むパイロット・プロジェクトに着手しています。
高齢になっても住み慣れたところで安心して暮らし続けることができる…そんな青葉区の未来を切り拓くキックオフイベント
10月1日、青葉区における「地域包括ケアシステム」の構築に向けたキックオフイベントとして、関係する医療・介護の専門職の方々が一堂に会するセミナーを開催したところ、350人もの関係者の参加を得ることができました。
このセミナーでは、団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、急増する医療・介護需要に対応するため、地域の医療機関や介護事業者などがどのようにして連携を図っていくべきか具体的な事例を通して紹介するとともに、今後、展開する情報共有システムのデモンストレーションを行いました。
青葉区医療・介護連携の地域包括ケアシステム推進部会 部会長の医師 西川真人氏へのインタビュー
今回のキックオフセミナー開催までの経緯や今後の課題などについて、「青葉区医療・介護連携の地域包括ケアシステム推進部会」の部会長を務めている医師 西川真人さんにお話しを伺いました。
①なぜ今回のキックオフセミナーを開催したのですか?
これまで青葉区に関係する医療機関や介護関係事業者の代表の方々に集まっていただき、「高齢者を地域で支えるには、どのような仕組みを作り、連携を強化していくか」ということを話し合ってまいりました。そして、平成26年4月から、その仕組みの一つ「クラウドを活用した多職種連携の情報共有システム」の試行運用が始まりました。今後、このような具体的な施策が始動していくにあたって、「私たちが作ろうとしている地域包括ケアシステム『あおばモデル』とはどのようなものか?」「この仕組みによって、何がどのように変わるのか?」「具体的にどのような連携が必要か?」などについて、まずは広く直接関係する医療・介護の専門職の皆様に知っていただくことが必要であり、そのために開催しました。
②当日参加された関係者からは、どのような声がありましたか?
「これまでの地域包括ケアシステムの説明では今一つピンとこなかったが、今回のセミナーは、ロールプレイだったので、具体的にどのような連携が必要なのか分かりやすかった。」「クラウドによる情報共有システムの仕組みや、システムの有効性が良く分かった。」「実際にクラウドを使用した方のコメントが聞けて良かった。」など、概ね好評だったと思います。
③今回のキックオフセミナー以外でも、これまで進めていく中で、色々とご苦労された事があったかと思います。どの部分が一番難しい部分でしたか?
「地域包括ケアシステムには、多岐に渡る専門職の皆さんが関係します。しかしながら、医療・介護関係者の間には、目に見えない大きな「カベ」があります。この「カベ」を取り払い、関係する皆さんの一人一人が、職種を超えて気軽に声を掛け合い、協力し合えるような関係を作るのに、一番、苦労しています。
例えば、職種を超えた連携をつくるには、まずはお互いを知ることが必要であることから、個々の職種の会合に他の職種の方が訪問し、個別に説明する…こういったことを、少しづつ積み重ねてきました。
④今後、乗り越えなければいけない課題は何がありますか?
「職種を超えた連携」については、現在、推進部会や準備会などに係わってもらっているメンバーの間では、かなり密な連携がとれるようになってきたと思います。この連携を、いかに拡大し深めていくかが大きな課題です。
また、「在宅だと何か起こった時、大丈夫かな?」と不安を持っている区民も多いと思います。そこで、仕組みづくりと共に、区民の皆さんに在宅医療・在宅ケアに対する安心感を持っていただけるような啓発をしていく必要があります。区民の皆さんに対する啓発は、今後、全体の進捗状況に合わせて実施していく予定ですが、平成27年2月28日にメロンディアあざみ野で区民向けシンポジウムを開催することになりました。ぜひご参加いただければと思います。
⑤最後に、地域包括ケアシステムの構築に向けた意気込みをお聞かせください。
まだ、ようやくスタートラインに立ったというところで、これからも乗り越えなければならない課題はたくさん出てくると思います。しかし、全ての青葉区民が、将来に渡って住み慣れた地域で安心して暮らしていけるように、関係する医療・介護の関係者一堂で頑張っていきたいと思います。
地域ぐるみで高齢者の医療・介護・暮らしを支えるまちを目指して
地域包括ケアシステム「あおばモデル」は、2017年度までの構築を目指しています。自分らしく活き活きとした高齢期の安心の基盤となる、青葉区民の暮らしのインフラ実現に向けて、さらに大きな一歩を踏み出した、そんな一日となりました。