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イベントレポート

2016.05.18(水)

「次世代郊外まちづくり シビックプライド 〜美中生が考える明日のわがまち〜」を開催しました

春を予感させる陽射しが降り注いだ3月23日、たまプラーザテラス・プラーザホールにて「次世代郊外まちづくり シビックプライド 〜美中生が考える明日のわがまち〜」が開催されました。

今年度の地域連携プログラムの集大成

地域の多様なリソースが連携・協力することでさらに相互発展していくまちづくりの取り組み「地域連携プログラム」。次世代郊外まちづくりは、この「地域連携プログラム」を通じて、美しが丘中学校と一緒にさまざまな活動に取り組んできました。

たとえばAOBA+ARTと連携した「アオバアート・ゼミ」「街のはなし・ヒアリング」、「職業インタビュー」や「職業体験」。そして、これらの情報や体験を基に「美中生が考える明日のわがまち」と題して、まちの将来像やその実現に向けて、自分たちにできることをe-Bookにまとめる授業を行いました。

今年度の集大成となるこの日は、このe-Book(※)を活用し、保護者や地域の方々に向けて「美中生が考える明日のわがまち」を発表しました。

e-Bookを活用したポスター24枚を会場に展示

会場をぐるりと囲むように展示されたのは、模造紙を使った各班のポスターです。e-Bookをプリントアウトして貼り付け、わかりやすいようにマジックなどでタイトルやコメントが加えられています。各クラス8班、計24枚のポスターが並ぶと、会場はとてもカラフルに彩られました。それぞれの個性が出たポスターの数々に発表への期待が高まります。

まずは、ゲストの方の紹介です。今回は東京大学大学院工学系研究科・教授/小泉秀樹さん、東京理科大学理工学部・教授/伊藤香織さん、横浜市建築局住宅部住宅地再生担当部長(当時)/大塚宏さん、東急電鉄都市創造本部開発事業部事業計画部・統括部長(当時)/東浦亮典さんに加え、職業体験などでもご協力をいただいたたまプラーザ中央商店街・会長/佐藤恒一さん、たまプラーザ駅前通り商店会・会長/小松礼次郎さんにもご参加いただきました。東急電鉄から次世代郊外まちづくりの「地域連携プログラム」の一連の取組み内容について詳しい説明がされた後、いよいよ各クラスの代表グループによる発表が始まりました。

ハキハキしてわかりやすかった代表グループによる発表

トップを飾った1組7班の発表タイトルは「残そう 私たちのまち」。この班は、まちがこれからどう変わればいいのかに着目し、商店街の人にインタビューを実施しました。その結果、中学生にとっていいことが高齢者の方々にとってはいいとは限らないということがあるとわかり、幅広い層が住みやすいまちをつくる大切さに気づきます。そこで、誰もが住みやすいまちをつくるために3点の提案をしました。1点目は「清掃活動やボランティア活動への参加」、2点目は「イベントなどへの積極的な参加」、3点目は「挨拶の活発化」です。e-Bookをスクリーンに映し出し、手元のタブレットを見ながらハキハキと発表をこなしていたのが印象的でした。

その後、ゲストの方々との質疑応答に移ります。佐藤さんからは「若い方の思いが伝わってきました。ただ、大人になるにつれてまちは通過点になってしまう。ぜひこのまま思いを大事にしていってほしいです」とコメントをいただきました。小泉さんからは「自分たち以外の人にとってもいいまちになるにはどうしたらいいかを考えていた点がすばらしいと思いました」と評価をいただきました。

子どもたちのアイデアに思わず感心!

2組1班の発表は「安全な町〜安全な町ってどんな町〜」。タイトル発表とともにかわいらしいポーズを決め、お客さんを惹き付けました。理想のまちは「安全な町」だと考えたこの班は、美しが丘小学校と美しが丘東小学校に行き、具体的にどんな安全対策をしているのかヒアリング調査をしたそうです。それにより、自分たちの知らないところでさまざまな安全対策がされていたことがわかりました。そして、危険を可視化し、呼びかけをすることで安全に対する意識を高めていこうと「交通安全ポスター」を貼り出すことを提案しました。

大塚さんからは「ふたつの小学校にインタビューしたというのがユニークで良かったと思います」とコメントが。つづいて東浦さんからは「安全を考えるときに、いちばん大切なのは人の意識を変えることです。今の大人はスマホを見ていたり、イヤホンをしていたり、注意力が欠けています。ぜひまちの人に安全に対する意識を高めてもらえるよう、呼びかけをしていってもらいたいです」と応援のコメントが伝えられました。

最後に、3組4班の発表です。タイトルは「この町の未来」。たまプラーザは今のままでも住みやすいが、世代を超えた関わりは少ないのではないか、という視点から「地域の人とたくさん交流ができるまち」を検討し、2点の提案をしました。1点目は「イベントやボランティアに参加する」、2点目は「近所の方と仲良くなろう」というものです。

質疑応答では、伊藤さんから「実際にイベントをつくっているのは大人がほとんどですが、中学生の視点から改善できそうな点があったらぜひアドバイスをください」と言われ「夏場のイベントは室内にもブースを広げたら、熱中症が心配で参加できない高齢者や小さいお子さんも参加できると思います」という具体的なアドバイスが飛び出しました。

活気に溢れたポスターセッション

その後、前半と後半に分かれて、ポスターセッションを行いました。前半は奇数班、後半は偶数班が自分たちのポスターの前に立ち、お客さんに向けて発表を行います。お客さんは発表を聞いたり、ポスターを見たりして、受付時に配布された6枚のシールを、良いと思った班のポスターに貼るのです。しばらくすると「○組○班の発表をぜひ聞いてくださーい!」「これから発表を始めまーす!」と言った声が上がり、どの班の話を聞こうか、ついつい迷ってしまうほど、活気に溢れました。

熱気冷めやらぬ中、最後にゲストの方々から講評を伺いました。

たまプラーザ中央商店街・会長/佐藤恒一さん
耳の痛い話が多かったです。掃除やイベントなど、商店街ではさまざまなことをやっているのだけど、知らない人が多いのがわかりました。頑張って情報発信していくので、これからもたまプラーザのために力を貸してほしいです。

たまプラーザ駅前商店会・会長/小松礼次郎さん
ポスターセッションでは、全部の班にシールをあげたいぐらい、どの班の発表もすばらしかったです。夏祭りには、みなさんの声を反映できるように検討していきたいと思います。

横浜市建築局住宅部住宅地再生担当部長(当時)/大塚宏さん
限られた時間の中で、広く深く考え、人に伝える機会で役割を立派にこなされていることに感動しました。これからみなさんが1歩でも踏み出していけば、よりよい地域社会が生まれます。ときにはつまづくこともあるかもしれませんが、めげずに頑張ってほしいです。

東急電鉄土地創造本部開発事業部事業計画部・統括部長(当時)/東浦亮典さん
非常に内容の濃い発表でした。自分が中学生のときはこんなにしっかりしていませんでした。大人にない自由な発想の発表があっても良かったかなと思いました。これからぜひ、今日提案したことを、一つでも二つでも実践していってほしいと思います。

東京理科大学理工学部・教授/伊藤香織さん
すごい熱気でしたね。1年以上やって、いろいろなプロセスを踏んでいるのだなということがよくわかりました。みなさんのアイデアを、大人たちは必要としています。ぜひ大人が気づいていない点やアイデアを積極的に発言していってほしいです。

東京大学大学院工学系研究科・教授/小泉秀樹さん
楽しくて上手な発表で、見て聞いて楽しめました。ほかの人の立場に立っていいまちはどんなまちなのかを考えられるようになったということがいちばんすごいなと思います。そしてそれはこの場にいて手伝ってくれている大人たちのおかげでもあると思います。こういう考えをしっかりもって地域に関わっていけば、地域を良くしていくことができます。どうぞこれからも頑張ってください。

どの方も中学生とは思えないしっかりとした発表に強く感銘を受け、驚いていたようです。

本当に、中身の濃い発表ばかりで、あっというまの2時間でした。この先、生徒たちが大人になったときに、たまプラーザがどんなまちへと変化し、どの様に関わっていくのか。彼らの今後に期待をせずにはいられない発表会でした。

来場者の感想

Y.Kさん(60代・女性)
自分のまちを考えるのはとても大事で、まちへの関心が起こるような授業を取り入れているのは、すごくいいことですね。実際にヒアリングをして、今まで気づいていなかったまちを守る仕組みや考え方が見えたという話をしている子がいましたが、わからなかったことが、まちづくりをしっかり勉強した時に俯瞰できたというのはすばらしいし、先に進む力が生まれることに繋がるのではないでしょうか。これは大人も頑張らないと太刀打ちできないなと思いました。

※ e-Bookとは
e-Book(電子書籍)とは、パソコンやPDA、携帯電話、携帯読書端末などのディスプレイ上で閲覧可能なコンテンツの総称です。

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