イベントレポート
2019.08.23(金)
元石川高校「アントレプレナーシップ」授業で高校生が次世代郊外まちづくりの情報発信について考えました
神奈川県立元石川高校では、2年生の選択教科の一つとして「アントレプレナーシップ(以下、アントレ)」を開講しています。「アントレ」は、これからの社会をたくましく生きる力を醸成することを目的とした同校独自の授業。教員だけでなく企業、大学、地域とも連携しながら、年間を通して様々な実践課題に取り組んでいます。
次世代郊外まちづくりでは、昨年度からこのアントレ授業に参加。今年は、一学期のアントレ授業で「どうすれば『次世代郊外まちづくり通信』(以下、通信)を高校生に届けられるか」という課題に取り組んでもらいました。
5月8日(水)の初回授業から6月6日(木)の中間発表を経て、6月27日(木)はいよいよ最終発表です。5分という限られた時間のなか、10組のチームがプレゼンテーションを届けてくれました。どのチームも具体的な解決策まで落とし込み、さらにプロモーションや紙面デザインのモックアップ(試作品)も多数提示してくれました。また、中間発表の際に私たちがお伝えした要望をもとに新たな解決策を提案するなど、たった3週間でのかなりの改善や進化が見られ、私たちはもちろん担当教諭の皆さんも驚かれていました。
通信を高校生に届ける方法として、彼らの日常と密接した場所やツールの活用提案が多数出ました。例えば、バスで区内の高校に通う生徒が多いことから、あるチームはバスの車内アナウンスに着目し、実際に高校生に車内アナウンスのサンプルを聞いてもらってどれだけ記憶に残っているかをアンケート調査。スマートフォンを操作したり本を読んだりしていても耳から入ってくる情報の有効性を提示するとともに、電車広告と比較した費用対効果を数字で表して実現可能性もしっかりアピールしていました。
また、QRコードでWebとの連動を提案したチームは、QRコードを載せるポスターのデザインに加え、ポスターの掲示場所も提案。スマートフォンを手放さない高校生が多いことから学校のトイレのドアや壁が有効と提案してくれました。あるいは、そもそも地域に高校生が集まれる場所がないことを問題視し、居場所の候補となるカフェを選定し、その集客につなげるスイーツを提案するチームもありました。他にも、総合の授業で自分たちのまちについて考え、ツールとして通信を活用できるように具体的なカリキュラムを考えたチームもありました。
どの発表も、緻密な作業に裏付けされていることが印象的でした。また独自性に富み、メンバーで一生懸命練り上げたことがうかがえました。そして、なかでも私たちが感動したのは、単に通信を届けるだけでなく、高校生が通信を読むことでまちに関心を持ち、自分たちのアイデアを地域に生かしていく循環を生み出すことや、次世代を受け継ぐ自分たちが住み続けたいと思えるまちにしていくことなど、あるべき姿をしっかり描いたうえで仮説検証していることでした。
最終発表の後は、よかったプレゼンテーションを私たちで決定することになっていたため、悩みに悩んで1位と2位を表彰させていただきました。アントレ授業を通して私たちも、高校生へ通信を届けるための多くの気づきを得られました。真剣に取り組んでくれたアントレ受講生の皆さん本当にありがとうございました。