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イベントレポート

2017.04.25(火)

「『次世代郊外まちづくり』健康増進セミナー 〜いつまでも地域で健康に暮らし続けるために〜」を開催しました

雨が降り続き、寒い1日となった3月21日、「WISE Living Lab さんかくBASE」共創スペースにて「『次世代郊外まちづくり』健康増進セミナー 〜いつまでも地域で健康に暮らし続けるために〜」が開催されました。次世代郊外まちづくりでは、取り組みのひとつとして、快適で健康な生活を支えるまちの仕組みづくりを推進していますが、本セミナーは、その取り組みの一環として開催されたものです。

健康に天寿をまっとうするためには?

司会進行は、青葉区内にある「医療法人社団プラタナス 青葉アーバンクリニック」医師、三島千明先生です。まず、プレ講演として、本セミナーの目的や青葉区での在宅診療、横浜市の健康寿命延伸の取り組み「よこはま健康アクションStage1」などについて、三島先生から紹介がありました。

続いて「医療法人鉄蕉会 亀田総合病院」理事長の亀田隆明先生による基調講演「健康に天寿をまっとうするために」が始まりました。千葉県南房総市にある亀田総合病院は、ベッド数1000床、来院は1日3000人、手術は1日50例と、大学病院と変わらない規模を誇る総合病院です。徹底的に患者のことを考え、世界一流の「医療」と「もてなし」を提供、入院した人の多くが「またここに入院したい」と願い、国内外から患者が殺到することで知られています。

亀田総合病院の簡単な紹介のあと、超高齢社会においてどのように健康を維持していけばいいのか、医療技術の進歩についての説明も交えながら、丁寧にお話してくださいました。

重要なのは、病気の早期発見

そもそも「健康に天寿をまっとうする」とはどういうことなのでしょうか。じつは、日本人の平均寿命は、戦前まで50歳だと言われていたそうです。人類が誕生してから100万年近くかかってようやく50歳まで伸びたのです。しかし、現在の平均寿命は83歳。70年間で33年も伸びたというのは、人類の歴史としてみれば驚異的なのだそうです。「人間は不老長寿の薬を飲んだのかもしれない(笑)」と亀田先生。

「しかし、それでも変わらない事実は、生まれたらいつか確実に命は終わるということです。だからこそ、どうやって楽しく健康に過ごすのかが、命のテーマだと思います」

人間が長寿となった要因にはさまざまなことが考えられます。たとえば栄養状態の改善。外科的技術の発展や麻酔の進化。そして、コンピューターと医療機器の融合により、病気の早期発見ができるようになったことなどです。

日本の死因でもっとも多いのは今でも「がん(悪性新生物)」ですが、それは寿命が伸びたことにも起因しています。実際のところはよほどたちの悪いものや治療が難しい部位のがんでなければ、早期発見さえできれば治せる病気になっているのだそうです。

「健康に天寿をまっとうするためには、早期発見が重要です。会社にいるうちは人間ドックを受けていても退職すると受けなくなってしまう人も多いのですが、ぜひ、定期的に受けてください。もちろん、栄養面での配慮や運動も大切ですよ」

たとえば食道がんの検査は日帰りでも可能です。また進行の遅い大腸がんは、3〜5年に1回検査すればよいなど、意外と定期健診のハードルが低いことが説明されました。また、早期発見であれば、部位によっては体への負担が少ない凍結療法などの最新技術が利用できる場合もあるなど、医師ならではの情報も提供してくれました。

「せっかく与えられた天寿です。病気が事前にわかって防げるのであれば、ぜひ防いでもらいたいと思います」と締め括られました。

次々と手が挙がり、活発だった質疑応答

その後の質疑応答では、健康対策や検査、予防接種などに関する疑問や質問が相次ぎました。たとえばある参加者の男性は「今日のお話のポイントは“早期発見”だったと思います。私は、人間ドックでどこまでわかるのだろうということが不安で、毎年がん検診を受けるようになり、人間ドックはやめてしまいました。これは予防として間違ってないでしょうか?」という質問がされました。亀田先生は「人間ドックの内容は病院によってさまざまです。全部の検査が含まれているものもありますし、これでは何もわからないだろうというものもあります。また、その病院に診断能力がないとどんな検査も意味がありません。ですから人間ドックの内容やどんな病院なのかをしっかりと見てください。どの検査がいいのかではなく、結果的に早期発見することが大事なんですから」と回答がされました。

また、地域で高齢者向けの筋力トレーニングやストレッチを実施しているという女性は「参加者には80歳や90歳の方もいます。健康そうではあるのだけれど、指導者としてはご本人が自覚してない病気があったらと思うと怖いです。指導するうえで気をつけることがあれば教えてください」とアドバイスを求めました。これには「急に姿勢を変えるときは血圧の変動が大きくなってしまうので注意する」「どんな薬を飲んでいるのかをご家族に確認する」といった基礎的なアドバイスのほか「運動しないこと、筋力が衰えてしまうことがいちばんよくないこと。心臓疾患があるなど特殊なケースは考えないといけませんが、気にしすぎずに、どんどんやってもらったほうがいいと思います」と、運動が早期発見前の「予防」につながることをお話してくださいました。

平日午前中、しかも雨が降り続く中での開催にもかかわらず、会場は地域の高齢者を中心にほぼ満席となり、健康に対する関心の高さが窺えました。このセミナーは、今後も食事や運動、社会参加や睡眠など、健康にまつわるさまざまなテーマで、継続的に開催していく予定とのこと。健康と暮らしが結びつく、新たな学びの場の登場に、期待が高まる1日でした。

参加者の感想

M.Hさん(80代・男性)
大変いい企画だったと思います。亀田総合病院という有名な病院の先生がいらっしゃるというのは、インパクトがありましたね。私は亀田総合病院で人間ドックを受けて病気の早期発見ができたので、それもあって伺いました。このあたりは高齢者も多いので、もう少し宣伝なりなんなりして多くの人たちに聞いてもらいたかったなぁと思います。

Y.Hさん(70代・女性)
先日いただいたチラシにセミナーのお知らせがあったのを見て、きました。私自身、もう後期高齢者ですけど、昔から健康志向が強くて、病気は全然しないし医者にも行ってないんですよ。でも年齢が年齢ですから、こういう話も聞いておかないとと思いました。とても勉強になりました。

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