イベントレポート

2016.06.22(水)

「第8回子ども・子育てタウンミーティング」を開催しました

春のうららかな陽気が続く5月10日、たまプラーザ地域ケアプラザにて「第8回子ども・子育てタウンミーティング」が開催されました。年度が変わり、初めてご参加いただいた方々もいらっしゃるなど、心機一転、和やかな雰囲気の中でミーティングはスタートしました。

新年度最初のタウンミーティングがスタート

まず初めに、新年度最初のミーティングということでこれまでの歩みを振り返りました。ひとつひとつ順を追っていくと、これだけで、気づけば20分も経過していたほど。わずか2年の間に、ずいぶんたくさんのできごとがあったのだなと驚きました。

つづいて、初参加の方々に自己紹介をしていただきました。多くが、春の異動で関係機関や行政の関連部署に赴任してこられた方々です。みなさんおっしゃっていたのが、他地域ではこのように保育・教育関係者が一堂に介することはあまりないということ。いったいどんな集まりなのかと、とても楽しみにして、きてくださったようでした。

「顔の見える場づくり」を考える

この日は大きくふたつに分けてお話が進められました。1つ目は、このタウンミーティングや、前回アイデアとして出していただいた”子育て支援や教育従事者向けのカフェのような場”が、どのような場であれば、より参加者の皆様にとって有意義なものになるかをテーマに話が進められました。美しが丘カフェ・関哉子さんのお話を皮切りに、トークが展開していきました。

「お母さんたちに相談されても、自分の経験でしか話せないので、本当にこれで良かったのかと悩んでしまうという話が前回出ていました。この場(タウンミーティング)は支援する側が相談できたり、情報や経験を共有する場になったらいいなぁと思います。顔が見えていると話しやすいし、実際にそういうことが起きつつあるのではないでしょうか」

すると横浜市ではマンションの「管理組合サポートセンター」という仕組みがあり、各区で月に1回集まって、大規模修繕を経験した人が成功事例を共有したり、さまざまな相談ごとができる場として、うまく機能しているとのこと。タウンミーティングもそういった形になっていくといいのではないかとの意見が出されました。

ほかにも、学校地域コーディネーターの方からは、年に数回「学校地域コーディネーター交流会」が開催され、情報交換をしたり、新しくコーディネーターを設置する学校がお話を聞きにくるなど、同じように情報共有の場がつくられているというお話がありました。

一方で、情報共有の大切さについて再認識しつつも、子育ての分野では特に、守秘義務の観点から難しい側面があるとの意見もありました。

知らなかったことが知れる大切さ

また、この日初参加だった方には小学校で「児童支援専任」という役職を務める方がいました。横浜市では3年ほど前から小学校に全校配置された役職で、担任をもたず、1〜6年まで全てのクラスに関わり、担任の先生のフォローをしたり、子どもたちの支援を専門に行っています。保護者の方からみても、担任の先生とはまた違った立場の方に相談ができるということの良さもあるそうです。

こういった職種があるということ自体を知らなかった人も多く、具体的にどんなことをやるのか、特別支援教育コーディネーターとはどう違うのか、どういう場合に相談がくるのかなど、次々に質問が飛んでいました。

「児童支援専任という先生の存在を知れたことがすごく大事だと思う。これからは何か相談されたときに児童支援専任の先生に相談してみたら?って言えるようになりますから。こうやって知らなかったことが知れるのがこのミーティングの良さですね」との声も。

「横浜子育てパートナー」って?

そして次に、事務局より、1月に始まった「横浜子育てパートナー」という新たな制度について説明がありました。これは子育て相談に加え、さらに踏み込んで具体的に支援機関を紹介・仲介するなどの、よりきめの細かい子育てサポートをしていくためにつくられた制度です。相談の方法が選べるなど、利用しやすいようにさまざまな工夫もされています。

子育てパートナーは各区に1団体必ず配置されています。青葉区では「青葉区地域子育て支援拠点ラフール」を区と共同で運営している「特定非営利活動法人ワーカーズ・コレクティブ」が選ばれました。ただし、どうしても広い区内を見きれないという現状があります。そこで、このタウンミーティングが子育てパートナーと連携しあえば、より充実した対応が可能になるのではないかとのお話がありました。これまでのミーティングで提案されてきた「子育てコンシェルジュ」とかなり近い制度であり、みなさんも高い関心を示されていました。

「横浜子育てサポートシステム」を活用したい

すると、話は「横浜子育てサポートシステム」(http://yokohama.famisapo.jp/)にまで広がりました。「横浜子育てサポートシステム」は、地域ぐるみの子育て支援をしていこうとつくられた制度で、お子さんを預かる提供会員、お子さんを預けたい利用会員、そしてどちらも可能という人が両方会員となって、子どもを一定時間有料で預けることができるシステムです。美しが丘地区は、需要はあるものの、利用会員に比べて提供会員が少ないことが課題となっています。

ミーティングには実際に提供会員をやられている方がいたため、詳しい話を聞くことができました。その方の自宅でのお預かりから保育園の送り迎え、体調が悪いときや勉強や仕事をする間の子どものお世話など、依頼は多岐に及びます。短時間でもOKなこと、理由は問わないので活用がしやすいことなどが人気のようでした。たとえば、結婚記念日のディナーの間、子どもを見てもらうといったこともOKなのだそうです。

「保育園の送り迎えだけなんていうのは、とても楽なので申し訳ない気もちになることも(笑)」と話すと「でもその送り迎えが、働いていると大変なんです。本当に助かってると思います」という意見も出ました。ただ、やはり人の子どもを預かるのはハードルが高いため、どうしても提供会員が増えないという現実はあるようでした。

かつてはご近所同士の助け合いが当たり前だったのに、今はそれが難しいという状況を寂しく思うといった話も出ましたが、だからこそ、この制度をうまく活用できないだろうかと、ポジティブにお話が結ばれました。

最後にひとりひとり、感想と「次回以降どんなことを話していきたいか」を言ってもらい、閉会となりました。どの方の言葉も、これまで以上に深みがあり、また次のアクションに繋がるような示唆を含んでいて、この日のミーティングがいかに充実したものだったのかが感じられました。

ちょうどこの日は、これまでも話し合われてきた「支援する側の支援」や「情報共有」という点が具体的にミーティングの中で実践されていたように感じます。保育・教育や子育ての専門家でも知らないことはたくさんあるのです。そのことに改めて気づかされ、体験や情報を共有することの大切さを実感した夜でした。

来場者の感想

青葉区役所・Yさん
「子育てコンシェルジュ」や「支援者側のコミュニティの場」など、今の時代にあったキーワードをいろいろ教えてもらいました。顔の見える関係ができているからこそ、こうして集まれるのではないでしょうか。このような場が青葉区全体でできるといいなと思いますし、みなさんのイメージに近づける仕組みをつくれないかなと思いました。今後も参加させていただきつつ、区のシステムにも活かしていきたいです。

地域コーディネーターMさん
いろいろな立場の人の話を聞けたし、とても勉強になりました。これまでは幼児、小学生の話題が中心でした。でも中学校だってあるし、18歳までは子どもです。この地域の子どもたちにどういう大人になってほしいかを考えるとすれば、中学校や高校、大学の先生にも参加いただけるといいのではないかと思いました。

児童支援担当Yさん
校長の代理できましたが、きてよかったです。支援する側としてはいろいろな情報や支援するノウハウを知らないといけません。ジャンルの違う方々が集まることによって勉強になることがたくさんありました。「子育てサポートシステム」は聞いたことがあったけれどよくわからなかったので今日詳しく知れて本当に良かったです。

幼稚園勤務Nさん
今、一般的に子育て支援というと働くお母さん支援になっています。私は子育ては次の世代を担う尊い仕事だと思っています。そして、お母さんたちが子育てを楽しめる世の中をつくっていきたいということについて日々悩んでいます。今は長時間保育の流れがありますが、地域の集まりに出ることでいろいろな人の現状をしり、幼稚園として何ができるかを考えさせられています。

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