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イベントレポート

2013.12.24(火)

電気自動車を切り口としてこれからのまちづくりを考える「こたつでトークセッション」開催!

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寒さの中に暖かな陽射しが感じられた12月7日、たまプラーザ テラスのステーションコートにて、「こたつでトークセッション」が開催されました。これは、「次世代郊外まちづくり」が掲げる「既成市街地における生活者中心のスマートコミュニティ化」の一環として、7〜8日の2日間に亘って開催された、日産自動車の多彩な電気自動車を活用したイベントのメイン企画として行なわれたものです。

子どもたちも興味津々のEV車

展示されていたのは、2014年度中に発売が決定している電気商用車「e-NV200」と、2013年2月にモデル地区でモニター調査も行われた超小型モビリティの「日産ニューモビリティコンセプト」、そしてすでに発売中の「日産リーフ」の3台です。どれも多くの人が興味をもって覗いていましたが、なかでも人気だったのは「日産ニューモビリティコンセプト」。今までにないフォルムと小型のかわいらしさが目を引いたのか、終始、子どもたちに囲まれ、実際に座席に座ってみる親子もたくさんいました。

日産リーフから電力を供給! 野外こたつでトークセッション

そして、このトークセッションには、タイトルどおりちょっぴり面白い仕掛けがありました。中央のステージにドンと置かれているのは、なんとこたつ! じつはこの野外こたつは、すぐ横に置かれた日産リーフの蓄電池から電力を供給して使用されていました。このほかに、マイクやスピーカー、パソコン、テレビモニターなど、この日ステージ周りで使用された電力のすべてを、日産リーフからの給電で賄いました。

使用電力は全部合わせて1kwh。リーフのバッテリーは24kwhなので、単純計算で24時間は電力を使用することができます。ちなみに24kwhは、一般家庭が1日に使用する電力量の約2〜2.5倍だそう。緊急時の非常用電源として利用できるほか、夜中に充電し、ピーク時に使用するなど工夫すれば、家計にも優しく、エコに繋げることもできます。

EV車のバッテリーが充電池の役割も果たすことは、最近ではよく聞かれる話ですが、実際に車を動かすこと以外に使っている現場は、まだなかなか見れません。「あの車から電気を供給してるんです」というと、みなさん興味津々に立ち止まって見ていらっしゃいました。

EV車を利用した海外の取り組みの事例

トークセッションは、司会にラジオパーソナリティで地元、たまプラーザ在住の蒲田健さん、そしてゲストに自動車評論家・環境ジャーナリストの川端由美さんを迎えて始まりました。スピーカーから音が出ると同時に、こたつに足を入れるおふたり。その後ろには、たまプラーザ テラスの建物と抜けるような青空が広がっているという、なんとも不思議な光景です。


まずは、川端さんから電気自動車の解説とその歴史、そして電気自動車を利用した都市での環境の取り組みについてのお話がありました。

EV車というと馬力がいまひとつな印象がありますが、様々なEV車を試乗した川端さんによるとそんなことはなく「トルクがすごいので、山を登る時やカーブなどで威力を発揮します」とのこと。

そして「EV車を自分のまちにどう応用できるのか?」というお話では、海外の事例を紹介してくださいました。たとえばパリ。EV車のカーシェアが行なわれており、1日10ユーロの登録料に加えて、時間と距離による利用料をカードで支払えば、駅前や空港から誰でも利用することができます。

環境先進国のドイツでは、町の中心部にエコな車しか走れないゾーンが設定されているところもあります。すると、近くの駐車場に車を停めて歩いていくことになるのですが、結果的に商店街が活性化してシャッター街がなくなったという事例もあるそうです。

また、面白かったのが、ひとつのナンバーで2台の車を所有することができるというシステム。高いほうの1台分の税金だけ支払えばいいので、2台目に小型のEV車を購入して近所へ買い物に行く時はそちらを使用するなど、ライフスタイルに応じて2台の車を使い分けることができます。経済も活性化し、環境にも優しいという、行政の柔軟さから生まれたシステムです。

海外の環境への取り組みは、EV車だけにとどまりません。ドイツのフライブルグでは、まちの中心2kmには車が入れないかわりにトラム(路面電車)が走り、利便性を確保するという、パーク&ライドのシステムを採用しています。

EV車をまちづくりにどう応用していくか?

EV車にまつわるさまざまな取り組みを聞いたところで、日産自動車のマーケティング本部マーケティングマネージャーの小松英之さんが登場。日産のEV車に使われている蓄電池の性能やメリットについてお話してくださいました。

たとえばこの日展示されていた商用車「e-NV200」であれば、排気ガスを出さないため倉庫内まで乗り入れ可能です。また、静音なので夜の宅配などにも安心して利用できます。移動電源として、屋台や野外イベントの電源として使用することも考えられます。「まちづくりの活動が始まっているたまプラーザでも何か活用できないかと考えています。そこでぜひ住民のみなさんの知恵を貸していただけたらと思っています」と小松さん

次世代郊外まちづくりの話題が出たところで、東急電鉄都市開発事業本部の東浦部長が登場。次世代郊外まちづくりに関係した取り組みとして「家庭の省エネプロジェクト」について説明がありました。「これまでは車中心のまちづくりで、人が車のために避けないといけませんでした。しかしこれからは、ベストな形で共存を図らなければいけません」と東浦部長。先日始まった「住民創発プロジェクト」など、様々な施策と合わせてEV車をどう社会に活かすことができるのかを検討していきたいとのことでした。一方で、電鉄会社として「電車、車、バスなどが連携して、有益な交通システムが作ることを模索したい」との楽しみなお話も。

そして、住民代表として関哉子さんがステージに上がりました。関さんは、2月のモニター調査に参加して、実際に超小型モビリティを利用した経験があり、住民創発プロジェクトに認定された「美しが丘カフェ」の代表でもあります。超小型モビリティは、加速がしっかりしていて坂の多いたまプラーザでも快適に利用できたそう。1台の駐車スペースに、超小型モビリティだと数台は駐車できること、1回の充電で数日は充分走行可能なこと(※使用頻度にもよります)なども魅力だったとお話してくださいました。

可能性を感じるEV車の活用と、まちづくりの未来

野外こたつの座席はすべて埋まり、すっかり一家団欒のほっこりした雰囲気が漂っていました。最後に、ひとりひとりからコメントがありました。

川端さん

たまプラーザでは、モデル地区としていろいろな試みができるというお話を聞いて、私も実際に住んでみたいと思っているほどです。ちょっとした移動には小型モビリティを使うなど、EV車を活用したまちづくりの事例をどう取り入れていくのか、住民ひとりひとりが考えて行動を起こしていただきたいと思います。

関さん
どこに行くにも坂が多いまちなので、超小型モビリティが早く実用化するといいなと思っています。期待しています。

小松さん
日産のガソリン車には100年の歴史があります。対して、EV車は3年目。まだ生まれたばかりの赤ん坊です。今後、EV車ならではの新しい使い方を考えていきたいと思います。また、横浜市が、EV車がたくさん走っているまちとなるよう、お手伝いができればと考えています。

東浦さん
日本は優秀で技術もあります。ところが実証実験は積極的に行なわれますが、なかなか実用化されない傾向があります。先進的な事例が活かされるよう、たとえば東急としても、駅前の便利な場所に小型モビリティを優先するパーキングスペースを作ったり、充電ステーションを作るなど、EV車の優遇をすることで、モバイルのベストミックスを考えていきたいと思っています。また、住民創発プロジェクトとコラボするなど、これまでにない発想で何か発信していけたらと考えています。

「以上、リーフの電気で暖かくお送りしました」という蒲田さんの言葉でトークセッションは終了しました。

EV車の実用化が進み、さまざまな活用がされていくのは、いよいよこれから。環境に優しく便利なEV車をまちづくりにどう活かしていくことができるのか、改めて期待に胸を膨らませた、楽しいトークセッションでした。

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