イベントレポート

2020.01.22(水)

「プロボノ入門講座~私を活かす、暮らす街との関わり方~」を開催しました

2019年11月14日、自らのスキルや知識をボランティア活動で生かす「プロボノ」の入門講座第1回が開催されました。この講座は、次世代郊外まちづくりの2019年度活動方針「田園都市で暮らす、働く」のもとで開催されるイベントやセミナーのひとつです。新しい地域とのかかわりあい方や活動の仕方をみんなで考える場となるべく開催しました。

第1回は専門家や実践者から話を聞く基礎編です。最初に登壇したのは、地域の起業を支援している関内イノベーションイニシアティブ株式会社の高瀬桃子さんです。高瀬さんは、地域の課題解決に取り組む団体とプロボノをマッチングする中間支援組織に関わった方。少子高齢化や人手不足などの社会課題が山積する中で、「行政が解決しきれない分野や、企業が取り組みにくい分野で活動する組織が増えている」、と現状を伝えます。

例えば、高齢者の買い物支援、親子カフェや子ども食堂、障害者の雇用作りなど、地域には様々な活動があり、またその法人の種類もNPO法人や個人事業主、町内会など多様です。しかしいずれも人的・金銭的なリソース不足に陥っているため、一般的なボランティアだけでなく、マネジメントにも関わるプロボノのニーズが高まっています。

プロボノの仕組みの一つに、中間支援組織にプロボノとして登録し、参加したいプロジェクトを選んで活動に加わり、課題が解決すれば解散、という流れで進められる「プロジェクト型」があります。これは、自分の暮らす街に関わりたくても機会がなかったり何から始めればいいか分からなかったりする人も参加しやすい仕組みです。

高瀬さんの講義の後は、3人の実践者の体験談です。横浜の親子向けのお出かけ情報サイト「あそびい横浜」を運営している株式会社パパカンパニー代表取締役の添田昌志さんは、プロボノとの出会いで読者のニーズを発見し、「遊び場所の情報発信」だけでなく「遊び方の提案」へとサイトの価値を高めました。

そのプロボノの一人として活動したことで「人生が変わった」と言うのは、プロボノ後にフリーランスを経て起業したPeaceful Morning株式会社代表の藤澤専之介さんです。横浜で生まれ育ちながら横浜で一度も働いたことがなく、「自分が暮らす街でいつか起業してみたい」と思っていた藤澤さんは、ソーシャルビジネスを支援するプログラムで添田さんと知り合いました。

新規事業開発や法人営業のスキルを生かし、忙しい添田さんたちが取り組みやすい施策として読者から話を聞く「パパミーティング」を実施。その分析をもとに好奇心旺盛かつアクティブなパパ層に向けた「よこはまこどもカレッジ」を誕生させます。「これまでずっとサラリーマンで、自分でお金を稼げるイメージがなかったが、プロボノを通じて会社の外の人に喜んでもらい、自信がついた」と藤澤さんは話し、プロボノが起業のきっかけになりました。

最後に登壇した山本珠代さんは、企業で人材育成に従事する傍ら、以前から気になっていた「こども食堂」で初めてのプロボノを経験しました。フライヤーや提出書類を作成するほか、代表の思いをとことん聴く、というサポートを行いました。活動をするにあたり、最初に「身の丈に合ったやり方で、自分にできることをやらせていただく」ということを代表とも確認しあったことで、心配していたほど負担と感じることはなく、楽しく取り組めたそうです。

プロボノを通じて「過大評価・過小評価していた自分のスキルを目の当たりにできた」と振り返る山本さんは現在、その経験を仕事にフィードバックしていくと同時に、自分自身と向き合いながら自らのキャリア形成に取り組んでいます。

藤澤さんも山本さんも、プロボノを通じて会社の外の人とのつながりや新しい視点・視野を得たことを大きな収穫ととらえていたのが印象的でした。

藤澤さんは、悩みも含め添田さんが腹を割って話してくれたことで「等身大の起業家でもいいんだと感じた」と話し、プロボノが起業のきっかけになりました。またプロジェクトではダンサーや中小企業診断士、県庁職員、営業といったプロボノとチームを組み、その一人は現在のビジネスパートナーになっているそうです。

一方の山本さんは、かねてから思っていた「自分の好きなことや得意なことで地域の役に立ちたい、同時に、他の方の好きなことや得意なこととつながりたい」をプロボノ後のボランティア活動でも実現。ワークライフバランスを考えながら、薬膳茶の会を立ち上げたり、農家さんをお手伝いしたりする中で、「今後は他団体とのコラボレーションにも取り組んでいきたい」と語ります。

今回のプロボノ入門講座には高校生からシニアまでが参加。副業解禁やパラレルキャリアなど、人生100年時代に向けて就労や社会参加が多様化するなか、プロボノにも幅広い層が関心を持っていることがうかがえました。第2回は実践編として、ケーススタディやワークショップを通してプロボノをさらに学びます。

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